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2023年12月8日金曜日

vSphere 8.0 U2・vSAN 8.0 U2 機能強化・アップデート情報

春先に vSphere 8.0 Update1 の話をまとめたと思ったら8月の VMware Explore 2023 で vSphere 8.0、vSAN 8.0 Update2 が発表され、9/22 には IA (Initial Availability) リリースされ、10/13 には GA (General Availability) となりました。

※  IA (Initial Availability) と GA (General Availability) についてはこちらの公式 Blog を参照してください → The vSphere 8 Release Model Evolves

だいぶまとめが遅くなりましたが、今後の個人的な覚書として整理しておきます。

公式アナウンス・リリース情報はこちら

最近は公式 Blog と並行して Core Techzone の記事が非常に多いので追うのも大変ですが、一通りまとめておきます。

公式 Blog / Core Techzone

vSphere 8.0 U2 について

vSAN 8.0 U2 および vSAN Max について

vSAN ESA の構成の柔軟性拡大に関して

また、vSAN 8.0u2 の発表の少し前に発表された vSAN ESA での DPWD1 の SSD、及び 10Gb をサポートする AF-0 の発表についても今回概要をまとめたいと思います。

その他ストレージ機能の強化に関して

vSphere 8.0 Update 2 の日本語版リリースノート


今回も個人的に興味を持っている vSphere・vSAN の機能強化についてまとめました。

それぞれのページ内リンクはこちらから

vSAN 8.0 Update 2 で気になる機能強化

vSAN ESA 関連の機能強化

ストレッチクラスタ・2 Node vSAN 関連の強化

vSphere 8.0 Update 2 で気になる機能強化

リリースノートには記載されていませんが、以下も追加

vSAN 8.0 Update 2 で気になる機能強化

vSAN 8.0 U2 では vSAN ESA への機能追加と vSAN ESA を専用ストレージクラスタとして利用する vSAN Max が発表されました。
※ vSAN Max は機能としては vSAN 8.0 U2 に実装されましたが、専用の TiB 単位のライセンスは CY24 にリリースされる予定とのこと。

また、機能強化以外にも vSAN ESA をサポートするハードウェアの幅が大幅に広がり、Read Intensive (DWPD1) の NVMe SSD のサポートと、10Gb ネットワークのサポートもアナウンスされています。

諸々、vSAN ESA が登場した 8.0 GA、その後の 8.0 U1、8.0 U2 では次のようにサポートされる機能が充実してきました。

vSAN Max

まず今回の発表で目立ったのが、HCI なのに外部ストレージの様に vSAN クラスタをストレージ専用クラスタとして利用する vSAN Max の発表です。

今までも vSAN Disaggregation (旧 vSAN HCI Mesh) を利用してクラスタ間、vCenter 間での vSAN データストアの共有がサポートされていましたが、今回その機能が専用ストレージクラスタとして利用可能になります。

All NVMe を利用する vSAN ESA の性能が非常に高くストレージ性能に余裕が出てきたこと、大容量化も進んでいる現状を考慮して HCI もストレージを集約するメリットがでてきたと言えます。



※ vSAN Max 用ライセンスについては別途用意される予定ですが、買収関連の動きの中で正確な情報が得られていないので一旦記事の中では保留とします。

vSAN ESA におけるストレッチクラスタと vSAN Disaggregation  (旧 vSAN Mesh) のサポート

vSAN ESA を利用してストレッチクラスタを構成した際に、vSAN Disaggregation がサポートされます。

さらには vSAN Max ストレージクラスタ自体をストレッチクラスタとしてフロア間・サイト間にまたがって延伸する事もサポートされました。

別 vCenter 間での vSAN ESA Disaggregated Storage (旧 vSAN Mesh) のサポート

vSAN OSA では既にサポートされていた異なる vCenter を跨いだクラスタ間での vSAN Disaggregation が vSAN ESA でもサポートされます。

この構成は vSAN Max でもサポートされ、vSAN データストアを今まで以上に柔軟に活用することが可能になります。



vSAN ESA Adaptive Write Path の強化

vSAN ESA では NVMe SSD の内部を P-Leg と C-Leg に分けて、P-Leg に Write IO を ミラーリングでまず書き込み、データがある程度集まったら RAID5/RAID6 のストライプ幅に合わせてフルストライプ書き込みをする仕組みが実装され、イレイジャーコーディングにおいても都度のパリティ計算を排除して高い IO 性能を発揮できることが大きな特徴です。

ただ、8.0 GA では最初から大きな IO サイズの処理に対してもミラーリング書き込みを行うなどちょっと無駄なところもあったので vSAN OSA が 7.0 U3 でサポートした Strided Write と同様に IO サイズに応じて適切な書き込みを判断する様になりました。

まず、前回のアップデート vSAN ESA Adaptive Write Path (8.0u1) : アダプティブ書き込みパスでは仮想マシンからの大きな IO サイズが降ってきた場合に ラージ I/O パス として、RAID のストライプ幅に合わせてまるっと一度に書き込まれる様になりました。



続いて vSAN ESA Adaptive Write Path (8.0u2) :  アダプティブ書き込みパスの最適化 では、vSAN ESA の Log-structured Filesystem (LFS) 領域のインメモリにおいてさらに高速に、ワークロードの状況に応じてデフォルト I/O パスとラージ I/O パスを適切に切り分け、高い性能を低負荷で発揮できるようになりました。

vSAN ESA Disaggregated Storage での Adaptive Write Path のサポート

また、vSAN ESA で Disaggregation を構成した際にも、コンピュートクラスタからストレージクラスタへの内部の I/O を適切に処理することが可能になり、vSAN Max 環境においても Adaptive Write Path が有効になります。

vSAN ESA クラスタにおける ESXi ホストあたりの VM 数の上限の拡大(200 VMs → 500 VMs)

vSAN が有効な ESXi ホスト上で起動可能な VM 数の上限が、vSAN ESA 環境の場合は最大 500 VM まで拡大されます (従来の vSAN OSA では 200 VM まで)。

より高集約が必要な環境でも vSAN ESA が活用可能になりました。

新しい ReadyNode プロファイル ESA-AF-0 および vSAN ESA の読み取り集約型デバイスのサポート

性格には vSAN 8.0 U2 からではなく、8.0 U1 以降で2023年8月からサポート可能になったハードウェアの選択肢の広がりです。

新たに vSAN ESA AF-0 という小規模・スモールスタート用プロファイルが設定され、

  • 10Gbps ネットワークのサポート
  • Read Intensive | 読み込み特化 (DWPD 1)の大容量 NVMe SSD のサポート
  • 最小ドライブ本数 2本〜 のサポート

など、今まで以上に vSAN ESA 導入しやすくなります。


vSAN ESA の機能を活用したいが、そこまでの I/O 性能、スループットは必要ないという場合や、検証環境でまずは小規模導入してみたい、といった利用にも vSAN ESA が適用出来るようになりました。

ちなみに vSAN Ready Node は従来通り非常にカスタムの幅が広く設定されていますので、vSAN Ready Node Profile をベースに要件に合わせてサイジング、カスタムして導入可能です。

参考

vSAN ESA での自動ポリシー管理の強化

8.0 U1 で導入された自動ポリシーがより強化され、vSAN クラスタを構成する ESXi 台数に応じた自動ポリシー設定が可能になります。

また、vSAN Max など Disaggregation を利用した環境にも自動ポリシーが利用可能となり、規模の拡大時の複雑なポリシー設定・運用が不要になります。

I/O トリップ アナライザのストレッチクラスタと 2 Node vSAN クラスタのサポート 

vSAN 7.0 U3 から実装された I/O トリップアナライザ機能がストレッチクラスタ、2 Node vSAN でもサポートされます。

これまでストレッチクラスタ、2 Node vSAN 環境において性能問題の調査、切り分けが困難な場合が多かったのですが、サイト間ネットワーク・サイト内ネットワーク・各デバイスそれぞれのどこで遅延が生じているか、問題が発生しているかを確実に調査できるようになりました。


2ノード クラスタとストレッチ クラスタの構成管理の簡易化

vSAN OSA、ESA ともに vSAN Witness Appliance の展開、ネットワーク設定が GUI から簡易に設定が可能となりました。

※ 従来は Witness ネットワークのタグ付が CLI 操作が必要だった。


vSAN クラスタに依存しない vSAN 監視ノードの目的の状態イメージのサポート

vLCM を利用したクラスタのライフサイクル管理において、vSAN Witness Appliance のパッチ適用管理が vLCM がサポートします。

vSphere 8.0 Update 2 で気になる機能強化

以下、リリースノートと公式アナウンス情報から個人的に気になるものをピックアップします。
※ 意外とリリースノートには記載のない強化・改善点も多いので合わせて記載したいと思います。

自己管理 vCenter Server のアップグレードのダウンタイムを短縮

今まで vCSA のメジャーバージョンアップ時や、vSphere+ の Cloud Console からオンプレ vCSA のバージョンアップで利用可能だった、

  • 「既存の vCSA」の隣に「新しい vCSA」をデプロイして、DB をコピー、コピー完了後に短時間サービスを止めて新旧切り替える

というサイド バイ サイドで vCSA バージョンアップがサポートされるようになりました。

※ vCSA が自分自身が管理しているクラスタ上に配置されている (自己管理クラスタ)必要があること、隣に新規 vCSA を展開する空き容量があることなど幾つか条件があります。

手順、デモ動画が以下の Core TechZone と KB にて公開されているので参照してください。

高速で信頼性の高いロールバックを実現する更新前の自動論理ボリューム マネージャ (LVM) スナップショット

vCSA のパッチ適用時に自動的に内部のファイルシステム、DB を保護するため LVM スナップショットが取得され、アップデートが失敗した場合に安全にロールバックできるようにします。


※ 本機能は → 8.0 U2 へのバージョンアップではなく、8.0 U2 → 以降のバージョンへのバージョンアップ時に有効となる機能です。

vSphere Client からの vSphere クラスタ サービス (vCLS) の退避モードの有効化

vSphere の機能強化リクエスト「アイデアポータル」でも以前からリクエストが上がっていた vCLS 退避モード (vCLS Retreat Mode) が vSphere Client の UI から設定可能となりました。

設定は「クラスタ」 > 「構成」 > 「vSphere クラスタサービス」 > 「全般」で 「VCLS モードの編集」がありますので、クラスタ全体のメンテナンス時には容易にモード変更が可能です。

こちらは別途記事をまとめました。

※ 以前は手動で詳細設定を変更してモードを切り替える必要がありました。

vCenter Server のバックアップ後もネットワーク構成の変更を保持

vSphere 8.0 GA で実装された 分散 Key-Value ストア (DKVS) の機能が強化され、NSX で使用される vDS インスタンスを含む vDS 構成を含むように、分散キー値ストアが拡張されています。

これにより vCSA がバックアップからリストアされると、vSphere クラスタの各 ESXi に存在する最新の vDS 情報が vCenter DB 内の vDS 情報にプッシュされ、調整されます。


今回のバージョンでは「前回 vCSA バックアップ取得後」から以下の操作がサポートされます。

  • バックアップ後に新しいホストを vDS に追加する
  • バックアップ後に vDS からホストを削除する
  • 仮想マシンを vSphere の静的分散仮想ポートグループに接続し、バックアップ後にポート拡張を行わない
  • バックアップ後に仮想マシンを NSX ポート グループに接続する
  • バックアップ後に NSX ポート グループから仮想マシンを削除する
  • バックアップ後のNSXセグメントの作成/削除

無停止の SSL 証明書の更新と vCenter Server のための置き換え

vCenter サービス再起動なしに vCenter サーバの証明書を再作成もしくはリプレイスが可能になりました。これにより証明書更新時の vCenter ダウンタイムのスケジュールは考慮不要となります。

対象となる証明書は vCenter Server マシン証明書と Trusted-Root 証明書です。

※ 他のシステムとの連携については再認証や再取得が必要な場合あます。


vSphere Virtual Volumes (VVOL) 用のサードパーティ製のマルチパス プラグイン (MPP) のサポート

vSphere 8.0 U2 では NVMe over Fibre Channel および NVMe over TCP データストアに対応した VVOL 用のサードパーティ製の MPP のサポートが追加されました。

VVOL でも NVMe over Fabric がサポートされる事で外部ストレージの選択肢、柔軟性も大きく拡大しました。

vSphere Configuration Profiles のドラフト

vSphere 8.0 U2 以降では Configuration Profiles のドラフト構成を作成し、vSphere Client で構成設定を直接編集できるようになります。

仮想ハードウェア バージョン 21

今回の発表で、Private AI への対応、GPU を活用した様々なワークロードへの対応が発表されていますが、それらの多くは 仮想ハードウェア バージョン 21 がサポートする、vGPU サポート数の倍増、NVMe デバイスのサポート対象の拡大などで実装可能となりました。



共有 vSphere Virtual Volumes (VVOL) ディスクのホット拡張

vSphere 8.0 U2 以降では WSFC や Oracle RAC などで VVOL 共有ドライブを利用している際に、サービス停止を伴わない拡張がサポートされます。

ESXCLI による vSphere Virtual Volumes (VVOL) の SCSI UNMAP 操作のサポート

vSphere 8.0 U2 以降では VVOL 領域の領域開放 (SCSI UNMAP ) を esxcli を利用して実行可能になります。

1 つの NFS v3 ボリュームでの複数の TCP 接続のサポート

vSphere 8.0 U2 以降では esxcli の nConnect 設定を使用して 1 つの NFS v3 ボリュームに対して複数の TCP 接続をサポートできるようになります。

vSphere Client のデザイン変更・リソース利用率を示す横棒グラフの復活

地味なアップデートでリリースノートには記載さていない事ですが、vSphere 7.0 以前の vSphere Client に存在していて、vCenter 8.0 〜 8.0 U1 では廃止されてしまっていた

クラスタ・ホスト・VM のサマリ画面でリソース利用率を示す横バー形状のメーター ↓


が復活しました。

全体的にアイコンや色調も変わり、メーターも水色で見やすいものとなっています。

テキストのみの表示になってしまったのが結構不評だったようでアイデアポータルでもリクエストに多く投票が入っていたので晴れて復帰となりました。

こちらは別記事でもまとめました。


vSphere Client を利用したアラーム設定対象の拡大

リリースノートに記載はありませんが、vCenter 8.0u2 ではアラーム設定時に利用するトリガー ID が従来より大幅に vSphere Client で表示される数が拡大されています。

※ 従来は ID を直接入力が必要だったアクションも UI から選べる様になりました。

ターゲットのタイプごとに数は異なりますが、恐らく従来は表示されていなかったトリガーが「その他」中から数千追加されているのが確認できます。


多すぎるのでキーワードで絞り込みながら探す必要がありますが、従来は ESXi に含まれるトリガーカタログを解答して Grep で探すなどしていた作業が、vSphere Client の UI の中で完結出来るようになりました。

個人的に vCLS、リソース利用率に続いて vSphere Client の UI 改善で一番良い改善だなと思っています。

次期 vSphere バージョン (恐らく vSphere 9.0) での廃止予定 CPU 世代の追加発表

詳細は以下の KB にて記されていますが、次期 vSphere メジャーバージョンで Xeon- Scalable Processors シリーズの最初のモデル Skylake 世代が非サポートとなります。

※ KB は日本語版は情報が古いので最新情報は英語版にて確認してください。

ESXi 8.0 U2 からは Skylake CPU を搭載したサーバーに ESXi をインストールすると以下のように将来非サポートとなる旨の警告が上がるようになります。

※ これは警告のみで、実際に ESXi 8.0.x で非サポートとなるわけではないので安心してください。



 

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