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2024年12月21日土曜日

HCIBench 2.8.x の最新情報とストレージ性能検証の注意点

本投稿、この投稿は、vExperts Advent Calendar 2024 の 12/21 分を担当しています。

ここ数年の自分の Advent Calendar の投稿を見ていると、vSAN 含めたストレージの性能検証か設計の話、または LiveOptics などアセスメントの話が多かったので、改めて過去投稿を振り返りながら最近の HCIBench を活用した性能検証について紹介しようと思います。

HCIBench の最新情報

前回 HCIBench の活用方法について投稿してから早5年、当時 HCIBench 2.0 だったものは 2024年12月現在で HCIBench 2.8.4 まで開発が進んでいます。

Broadcom Community に移行した Flings ですが、HCIBench の最新版は GitHub 上で公開されてます。

【注意】 Broadcom Community : Flings 上の HCIBench のリンクは Version 2.8.2 と少し古いので、インストール後にバージョンアップするか、GitHub 側のものを最初から利用してください。

以前、HCIBench を利用して自動で様々なパターンの性能データ取得を可能にするための Tips を紹介したのが 2019 年の HCIBench 2.0 のときでした。
※ それ以前にも EMC Community の Blog ページにて vExpert Advent Calendar 2017 ネタで HCIBench 1.6 の頃の Tips を投稿していたのですが、コミュニティの終了とともに消えてしまいました...

その後、その年の Advent Calendar でストレージ性能設計・検証のすすめというタイトルの記事を投稿し、2年後の 2021 年にも性能試験を実施する際の考慮点をまとめた記事を投稿しております。

検証の考え方や実施方法については、基本的に変わっていませんが、実際の案件での PoC 相談や、トラブルシューティングの相談でこのあたりの内容が頻繁に利用されるので、改めて整理しておきたいと思います。

2024年6月27日木曜日

vSphere 8.0 U3・vSAN 8.0 U3 機能強化・アップデート情報と VCF 5.2 先行情報

昨日 6/25 に vSphere 8.0 Update 3 がリリースされました。VMware が Broadcom に正式に統合されてから初の大型アップデートのリリースで今回は VMware Cloud Foundation (VCF) 5.2 に関しても同時に発表されました。※ VCF 5.2 のリリースは来月以降。

今回も自分自身の覚書とブックマーク代わりに個人的に興味を持っている vSphere・vSAN 関連の最新情報をまとめました。

今回のリリースでは Tech Zone などに新しい機能に感しての詳細が個別記事で紹介されているので概要だけ日本語で紹介し、詳細は Tech Zone の各記事へのリンクでまとめます。

※ Tech Zone の記事は英語のみですが、ブラウザの翻訳機能を利用すればほぼ正確な日本語になりますので日本語希望の方はそのようにしてください。

公式アナウンス・リリース情報

vSphere 8.0 Update 3 リリースノート

今回のリリース、vCenter Server 8.0 U3 は GA (General Availability) 、vSphere ESXi 8.0 U3 は IA (Initial Availability) と設定されています。

VCF 5.2 も同時に発表されましたが、VCF 5.2 のリリースは ESXi の GA リリースと、NSX や Aria の次期バージョンのリリース後に提供される予定です。

※  IA (Initial Availability) と GA (General Availability) についてはこちらの公式 Blog を参照してください → The vSphere 8 Release Model Evolves

先日アナウンスされた脆弱性 VMSA-2024-0013 (CVE-2024-37085, CVE-2024-37086, CVE-2024-37087) は本バージョンで Fixed です。

公式 Blog / Core Tech Zone 情報

vSphere 8.0 U3 に加え、VCF 5.2 に関してのアナウンスもあったため、公式 News Release にも発表がありました。このアナウンスの仕方は VMware の頃はあまりなかった気がするので新鮮です。

Official News Release

Official Blog

Core Tech Zone

より Deep な機能の紹介は Core Tech Zone (https://core.vmware.com/) に集約されています。


本投稿のページ内のインデックスです

2024年4月26日金曜日

VMware by Broadcom サブスクリプションライセンスのカウント方法と注意点

※ 2024年11月 Update : VVF 付属の vSAN ライセンスが 0.25 TiB に拡大し、vSAN Add-on ライセンスと合算可能になりました
※ 2024年5月 Update : SPD 記載の条件が変更となり、SDDC Manager を利用しない手組環境では同一 vCenter 配下に VVF と VCF のライセンスの混在がサポートされます

2023年11月に VMware が Broadcom に買収され、ライセンスが大幅に変更となっています。

年末からここ数ヶ月で多数のアップデートが入ったことでネット上の情報を見ているといくつか古いまま情報もありますので、公式情報を元に確認できているライセンスの「考え方」や「カウント方法」をまとめます。

※ 本投稿では vSphere Foundation (VVF) と Cloud Foundation (VCF) のコアライセンスについてまとめていますが、その他の Add-on ライセンスについては別途整理する予定です。

Broadcom の会社として変更となるライセンスに関する背景や方針は以下の公式 Blog にて説明されているのでこちらを参照願います。

色々と変更となる点で皆様思うところはあるかと思いますが、価格・販売に関しては担当営業の方、またはパートナー様にお問い合わせください。

※ 記事内のいくつかの VMware 公式サイトリンクは 5/6 以降に新しい Broadcom 側のシステムに切り替わりが予定されております。5/6 以降で判明した新しいリンクへは順次変更をかける予定ですのでリンク切れの際はご容赦ください。

以下、長文なので見出しへのリンクを追加しておきます。

従来の VMware ライセンスと新しい VMware by Broadcom ライセンスの違い
今後のシングルライセンスキー(ソリューションキー)について
適切なライセンス数サイジングのためにアセスメントの活用

従来の VMware ライセンスと新しい VMware by Broadcom ライセンスの違い

従来の永続ライセンス (Perpetual License) と vSphere+ や VCF+ などの従来のサブスクリプションと、新しい VMware by Broadcom のサブスクリプションライセンスは似ている部分と全く異なる部分があります。

従来のライセンスは全て販売終了となり、今後は新しい VMware by Broadcom としてのライセンス (vSphere Foundation や Cloud Foundation など)に切り替わります。

新旧ライセンスのざっくりした比較

ライセンス単位

新しいライセンスの一番の違いとして、従来は CPU 単位 (1CPU 辺り 32 コア単位) に1ライセンスでカウントしていたものが、サーバーに搭載される物理 CPU が持つ物理コア数によりライセンスがカウントされます。

このコア単位ライセンスは 1 CPU あたり最小 16 コアが必要となります。

2023年12月10日日曜日

Live Optics を利用した仮想化基盤の詳細アセスメント(2024年版)

今回は VMware Explore 2023 Tokyo のテックステージの LT で沢山の人に資料公開予定ありますか?と言われていた LiveOptice の Deep な使い方をよく頂く質問と合わせてご紹介します。 

※本投稿は vExperts Advent Calendar 2023 の 12/10 参加記事となります。https://adventar.org/calendars/8879

LiveOptics ネタは久々の投稿ですが、過去に投稿した LiveOptics 関連の記事は以下。

Live Optics の使い方のポイント

Live Optics の使い方のポイント

LiveOptics とは?

Live Optics とは Dell が開発・提供する無償の IT インフラのアセスメントツールです。

https://www.liveoptics.com/

詳細は上記リンクにある以前の投稿でもご紹介していますが、日々進化していて非常に多くの種類の環境・ワークロードの利用状況を簡単に情報収集し、レポートを自動作成してくれる強力なツールです。

  • Live Optics の主要機能
    • エージェントレスで様々な環境のデータを収集
    • Web ダッシュボード、PowerPoint レポートの出力
    • 詳細な各項目の Excel レポート
    • vSAN Ready Node Sizer などサイジングツールとの連動

vSphere や Hyper-v、KVM など仮想化環境の情報収集の場合はコレクターツールをダウンロードして、Windows マシン上で 最長7日間データ収集を行い、レポート化します。


結構便利なのが、コレクターツールはインストール不要の exe 形式で配布される事、収集対象の機器には標準的な API やプロトコルでアクセスするので対象へのエージェントのインストールが不要な点です。

アセスメントというと結構事前の調整などの手間が発生することが多々ありますが、LiveOptics はその辺りの手間が省けるのが強力な武器になります。

※ コレクター実行用の Windows マシンは物理 PC でも仮想マシンでもどちらでもアセスメント対象に TCP/IP の疎通が取れれば利用可能です。

※ 2023年12月時点のバージョンでは .NET 4.7.2 以降が必要なので、これが標準で含まれる Windows Server 2019 を仮想マシンとして評価モードで動かすことで取得可能です。

RVTools との違い

vSphere 環境の情報取得で利用される無償のツールとして RVTools もあります。

https://www.robware.net/rvtools/

RVTools で取得した情報も vSAN Ready Node Sizer などいにインポートして利用できるので同じような使い方がされますが、RVTools は取得時点のインベントリデータや割当・消費情報をその場で取得、Excel レポートを生成します。

一方、LiveOptics は基本的には一定期間情報を継続取得して、インベントリデータや割当・消費情報に加えてパフォーマンス情報を取得するところに違いがあります。

ちなみに LiveOptics でも 「Inventory Mode」を利用する事で LiveOptics サイトへのデータアップロードは行わず、ローカルでインベントリ情報のみを Excel レポート化する事ができます。


パフォーマンス情報を精査してインフラの問題点、ボトルネックやアンバランスを可視化したい場合には LiveOptics がおすすめです。

LiveOptics の設定ファイルの配置場所

LiveOptics のコレクターを実行した場合のデータは基本的には exe ファイルが置かれたフォルダ上にデータが吐き出されますが、
一部、初回の EULA やコレクターアカウント情報の確認した際の情報のみ %USERPROFILE%\AppData\Local\LiveOptics に記録されます。


作業後、これらのファイル含めて削除したい場合は削除してください。



LiveOptics の利用で困ったときはどこに問い合わせるの?

LiveOptics の利用で問題が起きた場合はサポートサイト https://support.liveoptics.com/ の右上にある「Create Ticket」から簡単に SR を上げられます。


LiveOptics には仮想化環境のアセスメント機能「Optical Prime」以外にも多数の機能があるのでここでは「Oprical Prime」を選択し、英語で問い合わせ内容を記載してください。

24時間以内にはレスが付くので無償とはいえサポートリクエストが出来るのは心強いです。

※ 英語必須


LiveOptics のサポートサイト https://support.liveoptics.com/ は FAQ なども豊富にあるのでサイト内容は確認しておいたほうが良いです。

LiveOptics のアカウントの種類

お客様やパートナー様からよく質問されることとして、「お客様が作成した LiveOptics アカウントで同様の分析ができるのか?」です。

結論から言うと、分析できる項目がだいぶ少なくなるようで、Dell パートナーの企業、Dell 製品と関連する OEM 企業のアカウントに紐づくアカウントで無いと詳細な分析は出来ないようです。

Dell パートナー企業、または OEM 企業に所属する方は新規アカウトを作成する SignUp ページにある https://www.liveoptics.com/signup にて必ず適切なフォームからアカウントを作成してください。

企業の代表管理者がそれぞれにいるはずですので、企業アカウントとしてアクティベーションしてくれるはずです。※ 管理者がわからない場合、SR 上げると教えてくれます。


一般ユーザーの方は「Personal Use」か「IT Professional」でアカウントを作成できます。

アカウントがあると、パートナー企業が実施したアセスメントのダッシュボードを共有してもらう事も出来るのでご自身で詳細を確認したいという方はアカウントを作成してください。


LiveOptics がサポートするアセスメント対象

私がよく使うのは Oprical Prime を利用した仮想化環境などのインフラ分析ですが、現在は AWS や Azure などのパブリッククラウドのネイティブサービスも情報取得が可能です(※ インベントリのみでパフォーマンス分析は未実装)

https://support.liveoptics.com/hc/en-us/articles/360060070093-Optical-Prime-Product-Matrix-

一部の UNIX や MacOS などは取得対象外ですが、多くの企業で利用されてるインフラの殆どが分析可能なので非常に強力です。

どんな情報取得して、どんなレポートが作成可能なのか?

以前の投稿でも取得情報の詳細は紹介しましたので、今回は Web ダッシュボードでまとめられる情報と、Excel、PowerPoint で出力される情報とそこから何を見るべきかポイントを紹介します。

取得可能な情報は以下を参照してください。

また、Live Optics のサポートサイトにて取得されるメトリック、特に Excel レポートに出力される各項目の詳細情報が表形式でまとまっています。

Cloud Pricing については、以下の KB にてそれぞれの環境における価格決定要因の解説があります。


分析ダッシュボードの読み方。

サマリダッシュボード


取得対象全体のリソースの合計、平均、消費、95パーセンタイルでの負荷など全体の状況が確認できます。

この情報はあくまでも全体からみた情報なので、規模の大きい環境や異なるワークロードの基盤が混在する環境では情報の解像度がボヤケてしまうので後述するクラスタごと、ワークロードごとのサポートに範囲を絞って確認することをおすすめします。

パフォーマンスダッシュボード


取得したクラスタやホストごとの詳細情報を見ることが出来ます。

バーチャルダッシュボード (仮想化環境の場合のみ)

利用されている仮想マシン全体の分析が確認できます。割当リソースが適切に利用されているか、無駄な仮想マシンが残っていないかを確認できます。



まとめて取得したレポートだがクラスタ単位などで個別レポートにしたい時

一括取得した複数のクラスタのうち一部のクラスタのみのレポートを作成した、取得した中から特定のホストを除外したい、というときはパフォーマンス画面から対象のチェックボックスを外し「再計算」を行うことで集計範囲を簡単に分けることが出来ます。


分けることでサマリダッシュボードの内容も変わるので、取得するときは一括、レポートはクラスタ単位、といった使い方も可能です。

結構重要な操作なので、規模の大きい環境、異なるワークロードが混在する環境ではぜひ対象を分けて分析してみてください。

アセスメントツールの実行におけるセキュリティの考慮

LiveOptics ではアプリ・エージェントのインストール不要で 最低限の情報収集を実施しますが、ホスト名(FQDN)、仮想マシン名、クラスタ名、IP アドレスなどの情報は取得対象が何なのかを判別するために必要な情報なので取得、レポート化に利用されます。

それ以外の仮想マシンやストレージに格納された固有情報にはアクセスせず、収集することはありません。

収集される詳細情報はコレクター exe が格納された Zip ファイルに同梱されている Live Optics_Security_Tech_Brief.pdf 、またはサポートサイトの Security Tech Brief にて参照可能です。


または、


PowerPoint レポートで見るべきポイント

LiveOptics ダッシュボードからエクスポート可能なレポート形式で PowerPoint があります。

ほとんどの場合はサマリ情報を見るだけで終わってしまいますが、出力される利用状況を時間軸でまとめたグラフは非常に有用なので是非活用してください。
※ PowerPoint レポートもクラスタごと、ワークロードごとに絞り込んでから出力することが可能です。

2023年12月時点では画面右上のメニューから「Reports」を選択します。

続いて上から4番目の「Performance」にチェックをいれることで PowerPoint レポートが作成可能です。比較対象のクラウドサービスのリージョンや PowerPoint レポートの言語も日本を指定できるので適宜変更してください。

個人的にレポートに含めておいたほうが良いのは以下の5つ

  • Environment Focus
    • Performance Envelope
    • Inventory Summary
    • 不要 Top 5 Servers Metric Percentages
  • Performance & Storage Focus
    • CPU Performance
    • Storage Capacity
    • IO Performance

これらレポートに含まれる以下のようなグラフを精査することで一週間のリソース利用率の上下動、日中・夜間の傾向把握することで基盤が抱える課題を可視化していくことが可能です。


Excel レポートのカスタマイズ

Excel で出力される Performance レポートは非常に多くの情報を含んでいますが、標準レポートのままではアンバランスやボトルネックを識別し難いので、Excel の条件付き書式などを活用して色分けして分析することをお勧めします。


予め各項目に条件付き書式の設定を入れたテンプレートを用意しておくと、出力した Excel からデータをテキスト形式で貼付するだけでより分かりやすいレポートが簡単に出来上がります。

参考として私が条件付き書式の色付け閾値にしている例です。

  • CPU 利用率 : 80 % 以上を赤、60 % を黄色、0 % を無色の 3 色グラデーション
  • メモリ利用率 : 80 % 以上を赤、60 % を黄色、0 % を無色の 3 色グラデーション
  • IOPS : 最大値を赤、0 ~ 最大値までをグラデーション
  • IO 遅延 : 20 ms 以上を赤、10 ms 以上を黄色、0 ms を無色の 3 色グラデーション
  • Host Boot 時間 : 最大値を赤、0 ~ 最大値までをグラデーション (長期稼働し続けるホストの炙り出し)
  • ゲストメモリ利用 : 48 GB 以上を赤、 32 GB を黄色、0 を無色で 3 色グラデーション
  • ゲスト起動状態 : "PowerOff" を赤
メモリ利用率やディスク利用率は環境ごとに違いますので、割当に対して利用率が適正かをだんだんする材料として利用します。

LiveOptics でここまで見える Deep な使い方

Excel レポートと PowerPoint グラフを組み合わせた分析方法の Tips を紹介します。

これら以外にも、Live Optics のサポートサイトにて各種メトリックの読み方、分析のポイントがまとまっているので併せて参照願います。

ESXi ライフサイクルの把握 : バージョン・起動時間の傾向

Excel の「ESX」シートではホストのメンテナンス状況(Boot Time)、ソフトウェアバージョンの確認の確認が出来ますので、ずっとメンテナンスしていない塩漬け基盤がひと目で確認できます。

ホストのソフトウェアバージョン・起動時間のチェック

  • 起動時間が長期継続 = パッチ適用など再起動が必要な操作が未実施
  • ESXi、vCenter の Build 情報も確認できるため、既知の不具合や脆弱性への対応状況、クラスタ内でのバージョン不一致の確認なども可能

ESXi ホスト間のアンバランスとボトルネックを把握

Excel の「ESX Performance」シートではクラスタ内の各ホストごとのリソース利用率の違いなどが確認できます。

ホスト間のリソースの偏り、負荷の集中、ボトルネックの有無を確認することで全体の無駄や課題を明確にする事ができ、アンバランスがあれば DRS などの負荷均等化する機能の活用が提案可能です。


ESXi ホスト間のリソースバランスチェック

  • クラスタ全体のリソースの不均衡がないか?
  • CPU・メモリが恒常的に高い場合は、スペックの見直し、VM 割り当ての見直しが必要
  • フェイルオーバー専用ホストなど未使用ホストが存在する?

適正 CPU の把握 : CPU 世代と利用率の関係

よく見られる傾向として、非常にハイエンドの CPU を採用しているのに CPU 負荷はずっと低く高くても 10% 〜 20%、低いと一桁といった環境も見られます。

ホストの CPU 負荷とそれに適した CPU モデルが選択されているかを確認することで次の基盤更改時の CPU モデル選定に活用出来ます。


ホストの CPU 利用率と CPU モデルのチェック

  • ホスト間の利用率の不均衡がないか? → DRS で VM の均等な配置を推奨
  • 高スペック CPU を採用したのにほぼ使っていないなどの無駄の確認
    → 次期基盤で適切な CPU サイジングの重要なデータなので SPEC Org 等のベンチマークデータで適正なモデルを検討

vCPU 割当数と vCPU 利用率の把握

クラスタやホストの CPU 利用率には余裕があるのに仮想マシンが 100% に張り付いている、といった事例も多く見られます。

そんな環境をよく見ると、各仮想マシンの割当 vCPU 数が 1〜2 などの少ないことが多々あります。

Excel の「VMs」シートと「VM-Performance」シートの仮想マシン情報を組み合わせる事で、各仮想マシンの割当 vCPU 数と CPU 負荷の状況を合わせて見ることが可能です。

ホストの CPU に余裕があるならば、もう少し仮想マシンに vCPU を割り当てる事で仮想マシンの性能問題を解決出来ると思われます。


VM に割り当た vCPU 数と性能状況、ESXi ホストの余裕を比較 

  • 適切な vCPU の割り当て数を検討
  • Hyper Threading が有効な場合は vCPU 数も偶数個で割り当てる

メモリ消費の実態把握 

Excel の「VMs」シートと「VM-Performance」シートは各仮想マシンごとのメモリよう詳細利用状況がわかります。

基本的には各仮想マシンに割り当てたメモリ (割当メモリ : Provisioned Memory) はゲスト OS 側でファイルキャッシュなどにどんどん消費していき、仮想マシンのメモリの使用率は時間とともに増加 (消費メモリ: Consumed Memory)していきます。

しかし、実際にはほとんどがキャッシュとして使われるだけで頻繁に使われているメモリ領域 (アクティブメモリ : Active Memory) は数%だけという例も多く見られます。
※ Linux OS などで free コマンドを見ると確認できる free と active の差



割当メモリとアクティブ・消費メモリのチェック

  • メモリ割り当てが適正か、Provisioned (割当)、Active (利用) と Consumed (消費) の違いを要確認

メモリの実際の使用状況を把握することで、不要な割当メモリの削減や次期基盤でのサイジングの参考に活用できます。

※ vSphere 環境ではメモリのオーバーコミットが可能ですが、バルーニングなどのメモリの回収動作が作動すると仮想マシンの動作が遅くなるのでサイジング上はメモリは割当メモリ 100% を消費する前提で組むのをお勧めします。

未使用ストレージ領域の把握

Excel の「VMs」シートと「VM-Performance」シート、「Cluster Disks」シートを確認する事で仮想マシンのディスク割当と消費、データストア全体の割当と消費状況を確認できます。

最近は HCI の採用や重複排除ストレージとの相性で Thin 形式の仮想ディスクを利用する場合が多くなっていますが、それでも多くのお客様はオーバーコミットしない Thick 形式や RDM を利用していることが多いです。

仮想マシンの中で実際にどれくらい使用されているのかを LiveOptics により明確にレポートすることが出来るので、ストレージの過剰割当を排除して適切なサイジングが可能になります。

※ 「Cluster Disks」シートの共有データストアの情報は全ホストから見えるストレージパスごとにデータストアが重複して並んでいるように見えるので別途 Pivot デーブル化して平均を出す必要があります。


未使用ストレージ領域の把握

  • Thick 形式のディスクや RDM が確保する未使用容量の把握
  • Thin 形式のディスクの実際の利用率把握

グラフから見つける時間別の傾向把握

Excel レポートには非常に多くの情報が詰まっていますが、「100% の CPU 負荷」や「高 IO 遅延」などのボトルネックがいつ発生しているのか、どのくらい影響があるのかは Excel だけではわかりません。

合わせて確認する事重要なのがダッシュボードや PowerPoint で確認可能な時系列に負荷が整理されたグラフです。

CPU・メモリ・ネットワーク・ストレージでピークがいつ発生しているか時系列で確認することで、Excel レポート上に記録された負荷が正常なものなのか、問題のあるものなのかを判別するヒントになります。

以下の例は CPU 負荷が健全な環境と、日中の負荷が逼迫している環境を並べたものです。

グラフに平日・休日・日中・夜間の指標を追記することでより分かりやすいレポートになります。

以下の例は Excel レポートでは高 IO 遅延が報告されている環境の IO 性能に関するグラフです。


この場合、IO 遅延が高まる時間帯が夜間であること、そのタイミングで大きい IO サイズで高いスループットが確認できていることから、お客様にその時間帯の処理を確認しました。

結果、バックアップや DB のバッチ処理が走っていたため、そのラージ IO サイズが原因の IO 遅延の増加が推測できることで、Excel レポート上の最大 IO 遅延は許容範囲内であることがわかりました。

※ IO サイズが大きければ IO 遅延も大きくなるのは当然なので、この様な場合の遅延はノイズとして無視して良い場合が多い

Live Optics データと各種サイジングツールとの連携

LiveOptics の便利なところは取得したデータをそのまま vSAN Ready Node Sizer などにエクスポートしてサイジング情報として活用出来たり、
Excel レポートを取り込むことで VMC Sizer や VxRail Sizer でもサイジング情報として活用出来るところです。

せっかくなので取得したデータを利用してサイジングツールをより高い精度で活用してみてください。


以上、長文となりましたが Live Optics を利用したアセスメントで出来ることの2024年版でした。

2023年12月8日金曜日

vSphere 8.0 U2・vSAN 8.0 U2 機能強化・アップデート情報

春先に vSphere 8.0 Update1 の話をまとめたと思ったら8月の VMware Explore 2023 で vSphere 8.0、vSAN 8.0 Update2 が発表され、9/22 には IA (Initial Availability) リリースされ、10/13 には GA (General Availability) となりました。

※  IA (Initial Availability) と GA (General Availability) についてはこちらの公式 Blog を参照してください → The vSphere 8 Release Model Evolves

だいぶまとめが遅くなりましたが、今後の個人的な覚書として整理しておきます。

公式アナウンス・リリース情報はこちら

最近は公式 Blog と並行して Core Techzone の記事が非常に多いので追うのも大変ですが、一通りまとめておきます。

公式 Blog / Core Techzone

vSphere 8.0 U2 について

vSAN 8.0 U2 および vSAN Max について

VMware Explore 2023 Tokyo オンデマンドコンテンツの紹介

先月開催された VMware Explore 2023 Tokyo のオンデマンド配信が 12/22 までの期間限定で公開されております。

おかげさまで担当した vSAN ESA Deep Dive がアンケート評価でトップになりました、ありがとうございます。

vSAN Express Storage Architecture (vSAN ESA) Deep Dive はこちら👇

資料もダウンロード可能ですので、今後の vSAN ESA の導入検討にご活用頂ければ幸いです📝



2023年9月20日水曜日

最近の ESXi では以前のクラスタで作成した vSAN パーティションを Host Client の GUI から消せる

最近、お客様の PoC 環境の再構築を手伝う中で気付いたことですが、ESXi 6.7 U3、ESXi 7.0.x と ESXi 8.0.x の Host Client で以前利用していた vSAN データストアの情報が残った vSAN ドライブの中のパーティションを簡単に削除できるようになっていました。
いつからこの機能使えたのだろうか?

今まで esxcli vsan storage remove -u <Disk UUID> コマンドで一つづつ削除したり、 ESXi のインストール時の Kickstart で clearpart --all 仕掛けていた手間を考えたらかなり楽...

ここ数年は Nested 環境で検証することがメインだったので、たまには実機器で検証して手を動かさないとだめですね...

2023年5月29日月曜日

vSphere 8.0 U1・vSAN 8.0 U1 機能強化・アップデート情報

vSphere 8.0 U1、及び vSAN 8.0 U1 が3月に発表され、4月18日に GA され一ヶ月以上経ってしまいましたが整理できてなかったので、今更ながら質問されたときの私自身のポインター用にまとめました。

公式のアナウンス関連はこちら

今回は vSphere、vSAN 以外にも PowerCLI と SRM/vSR と Converter にいい感じの Update が降ってきたのでご紹介

リリースノート

※ その後、2023/6/1 に vCenter と ESXi (特に vSAN) に関しての重大なバグ修正が入った vSphere 8.0u1a がリリースされているので特に既存環境からのバージョンアップ時には 8.0u1a を必ず使用してください。

Core Tech Zone Blog

公式 Blog 系

PowerCLI 関連の Update

Site Recovery Manager と vSphere Replication

今回も個人的に興味を持っている vSphere・vSAN の機能強化についてまとめました。

それぞれのページ内リンクはこちらから

vSAN 8.0 Update 1 で気になる機能強化

  • vSAN Disaggregated Storage (旧称 vSAN HCI Mesh)の機能強化、サポート拡大
    • vSAN ESA の Disaggregated Storage
    • vSAN ストレッチ クラスタの Disaggregated Storage (vSAN OSA)
    • 複数の vCenter Server を使用したクラスタ全体の Disaggregated Storage (vSAN OSA)
  • パフォーマンスの最適化、持続性・柔軟性の向上
    • vSAN ESA Adaptive Write Path
    • vSAN ESA Helper Threads による VMDK 単位の処理能力向上
    • vSAN ESA での持続性コンポーネント (Durability Components)
    • カスタマイズ可能なネームスペースオブジェクト
  • 管理の簡素化
    • vSAN ESA デフォルト ストレージ ポリシーの自動ポリシー管理
    • Skyline Health インテリジェント クラスタの健全性スコア、診断、修正
    • より詳細なパフォーマンス解析 (サンプリング間隔の短縮)
    • VM I/O トリップアナライザーのタスクスケジューリング
  • クラウドネイティブストレージ関連機能の強化
    • ESA におけるCloud Native Storage のサポート
    • Data Persistence Platform (vSAN DPp) の通常 vDS サポート
    • vSAN Direct Configuration を使用した Persistent Volume のシックプロビジョニング

vSAN は ESA (Express Storage Architecture) の機能拡大と旧称 HCI Mesh の vSAN Disaggregated Storage (日本語訳だと"分離されたストレージ"...とかなり変...)の強化が大きなポイント、その他管理系の機能の最適化が実施されました。

vSphere 8.0 Update 1 で気になる機能強化

これ以外にも多々、詳細はリリースノートや公式 Blog を参照願います。
やはり、無印 → U1 だと機能強化項目が多いですね

その他関連するプロダクトの最新情報

2022年12月2日金曜日

vSAN データストアの容量サイジングの考え方 (vSAN 6.7 / vSAN 7.0 / vSAN 8.0)

4年前の vExperts Advent Calendar で vSAN の各バージョンにおけるストレージ消費量を比べましたが、仮想マシンのデプロイ方法やストレージポリシーによってストレージがどの様に消費されるかは前回一通り確認しましたが、基本ルールは今のバージョンでも変わっていません。

今回は前回の続きのような感じで 過去に VMTN や Dell Community で vSAN のサイジングや容量監視に関連した質問と回答のポイントをまとめ、最新バージョンの vSAN における容量サイジングの考え方や推奨をご紹介します。

本記事は年末恒例の vExperts Advent Calendar 2022 の二日目を担当しております。

4年前の記事はこちら

本投稿の見出し

2022年11月12日土曜日

VMware Explore Japan 2022 開催とセッションのご案内

※ イベントの宣伝です

直前ではありますが 11月15日の VMware Explore Japan 2022 の初日の会場ブレイクアウトセッションの最初と、翌日16日のオンラインのブレイクアウトセッションの最後で vSphere 8 What's New と vSAN 8 Deep Dive の話をします。

2022年11月28日追記 : 
イベントは無事に開催でき、多くの方に参加・視聴いただきましてありがとうございます。

VMware Explore 2022 Japan のサイトは引き続きオンデマンド視聴が可能な状態で 12月23日まで動画と資料 DL が公開されております。

まだ視聴されていない場合はぜひともご活用いただければと思います。

MC21148 − Day 1: 11月15日(火) 12:00 - 12:40

MC22132 − Day 2: 11月16日(水) 17:00 - 17:40

どちらも内容的には vSphere 8.0・vSAN 8.0 機能強化・アップデート情報 でご紹介したものを整理した形となりますが、それぞれイベント開催後にも動画公開と資料ダウンロードが可能になりますのでご活用いただければ幸いです。

また、15日は会場の展示エリア奥の「インフラストラクチャと管理」のブースにて説明もしていますのでセッション受講後のご不明点などにもその場でご説明可能ですので是非ともお越しください。



2022年10月6日木曜日

vSphere 8.0・vSAN 8.0 機能強化・アップデート情報

発表からだいぶ時間が経ってしまいましたが、8月末に開催された VMware Explore で最新の vSphere バージョンである vSphere 8.0、vSAN 8.0が発表、さらには従来の vRealize 製品群が VMware Aria とブランドが変更される事も発表されました。

※ 毎年晩夏に開催されていた VMware の年次イベント VMWorld が 今年から VMware Explore となりました。

覚え書きを兼ねて公式情報へのリンクと個人的に気になる部分を整理しておきます。

公式のアナウンスはこちら

vSAN 8 関連

Aria・VCF 関連

その他、公式 Blog や Tech Zone に多く記事が上がっているので上記リンクからたどってみて下さい。

今回も個人的に興味を持っている vSphere・vSAN の機能強化についてまとめました。

それぞれのページ内リンクはこちらから

2021年12月20日月曜日

ストレージ性能設計・検証のすすめ③ : 性能試験を実施する際の考慮点

 本投稿、この投稿は、vExperts Advent Calendar 2021 の 12/20 分を担当しています。

元々、一昨年辺りからまとめていた仮想化環境におけるストレージ性能設計、検証方法の考慮点の3つ目のコンテンツの予定だったのですが、ずっと放置していたものをようやく投稿しました。


私なりの vSphere 環境でのストレージ負荷試験時に考慮しているポイントをまとめていますが、ストレージ機器の性能検証をする時の参考にしていただく以外にも、一般的なアプリなどの性能検証時にも共通する部分があるかと思いますのでご一読いただければ幸いです。

ストレージ性能は何を見るべきか?

一般的なストレージ IO 性能を示す値として、IOPS (毎秒あたりの Read / Write の IO 数)、スループット (毎秒あたりの Read / Write のデータ流量)、遅延 ( IO 毎の Read / Write 完了までに要する時間)があげられます。

その性能を提供するために必要となるコントローラやドライブの選定し、組み合わせて検証を行いますが、IO そのものの性能以外にも IO 性能を出す際のストレージコントローラやドライブなどの利用率・負荷、サーバーのシステム利用率など実際の利用下での負荷状況の予測値がまずは見るべきポイントと考えています。


メーカーのストレージの性能情報や、各種 IT インフラの RFP・仕様書を見てみると「IOPS」の数字だけが独り歩きしている事が多々あります。

どんな条件下での IOPS なのか、その IOPS を出している時のシステムは余裕があるのか、限界ギリギリなのかで状況は大きく異なってきますのでそれ以外の指標をしっかりと把握する事が重要です。

私のストレージ性能を計測して、サイジング・設計に落とし込む順序は、

  1. Max 負荷の IOPS・スループットがどの程度か、様々な IO パターンで限界性能の測定
  2. Max 負荷を把握したらその値を上限に徐々に IO 負荷を上げていき、IO 遅延の変化とシステム負荷を計測
  3. 遅延とシステム負荷の傾向が把握出来たら、健全と判断できる数値内でのサイジング

この順序で各種パターン検証と考察を行い、実際に必要なサイジングに反映します。
※ アプリケーション開発などと絡む場合は高負荷な限界状態での稼働確認テストや、長時間負荷や温度などを変えた耐久テストなどもありますが、今回は対象から外しております。

IOPS だけを見て性能要件とすると多くのストレージ選定は失敗するのでご注意ください。


※ 今回ご紹介する検証の考え方は、メーカーが Max 性能を引き出す際のベンチマークの掛け方とは異なります。とにかく高い IO 性能を出すためのベンチマークツールの使い方やチューニング方法はそれぞれのベンチマークツールの使い方の公式ガイドなどに例があるのでそれらをご参照ください。

2021年9月29日水曜日

vSphere 7.0u3・vSAN 7.0u3 機能強化・アップデート情報

VMWorld 2021 が来週から始まりますが、それに合わせて vSphere の最新アップデートとなる vSphere 7.0 Update3 / vSAN 7.0 Update3 の情報がリリースされました。
※ ダウンロード可能になるのは VMWorld もあるので恐らく来週以降。

※ vSphere 7.0 Update3 に関しては重大な不具合が発覚し一旦差し戻しとなっております。Log4j 脆弱性に対する修正等が適用された、2022/1/27 にリリースされた vSphere 7.0u3c (vCenter 7.0u3c / ESXi 7.0u3c) 以降を必ずご利用ください。

公式のアナウンスはこちら

今回も個人的に興味を持っている機能強化についてご紹介したいと思います。

今回も長文となってしまったので、それぞれのページ内リンクはこちらから

その前に、

-- 宣伝 --

VMWorld 2021 が来週 10/5 から開催されますが、今年も VMWorld Japan も 11月25日 ~ 26日にオンラインで開催予定です。


私も 11/25 (木) 12:50-13:30 に
MC11110 : VMware Cloud Foundation, VMware vSAN HCI インフラ設計 Deep Dive  : 解説 マルチクラウド時代の VMware vSphere クラスタ鉄板構成
というセッションでお話しさせていただく予定です。
お時間よろしければぜひ皆様の今後の仮想化インフラの設計の参考にご視聴頂ければ幸いです。

-- 宣伝終わり--

詳細は最初にリンクを記した公式 Blogs や Core TechZone の Blogs 記事にありますのでそれら参照願います。また、VMWorld 2021 でも詳細解説のセッションがありますのでそれらもぜひご覧ください。

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