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2025年8月6日水曜日

vSphere 9.0・vSAN 9.0 関連のテクニカルペーパー、ベストプラクティスガイドの公開

VCF 9.0 (vSphere 9.0 / vSAN 9.0 / NSX 9.0 / etc) のリリース後、それぞれ新バージョンに対応した各種テクニカルペーパー、ベストプラクティスガイドがリリースされました。

各ダウンロードリンクは以下の VMware Technical Papers / VMware Resource Center から過去のもの含めて入手できます。


vSphere と vSAN の新バージョン対応のテクニカルペーパーのリンクを以下にまとめておきます。

すべて英語版の PDF での公開となりますが、おすすめの利用方法は、PDF をローカルドライブやクラウドストレージにダウンロードし、ChatGPT や Gemini などの LLM に取り込み、活用する方法です。和訳したりポイントを絞って必要な箇所を確認することも簡単に行えます。

vSphere 9.0 関連

鉄板の Performance Best Practices for VMware vSphere の 9.0 版に加えて、新機能 NVMe Advanced Memory Tiering に関してのテクニカルペーパーもリリースされました。

vSAN 9.0 関連

vSAN 関連のテクニカルペーパーも、vSAN ESA、vSAN ESA Storage Cluster (旧称 vSAN Max) に対応した VCF 9.0 との組み合わせでのガイドが一通り揃いました。

vSAN 9.0 (vSAN OSA / vSAN ESA) に対応したデザインガイド、オペレーションガイドなど導入、運用時に約立つガイドです。

ストレッチクラスタや 2 Node vSAN などの構成についてもガイドが更新されました。

意外と重要なパフォーマンストラブルシューティングガイドも 9.0 に対応。
vSAN OSA と vSAN ESA それぞれの観点でのトラブル時の切り分け方法、メトリクスの読み方などが解説されています。

その他、vSAN のデータ配置、可用性、暗号化などの基本機能の Deep Dive に加えて、ファイルサービス、iSCSI ターゲットについての解説もまとまっています。

また、以前 Core Techzone にて公開されていた vSAN のバージョン別機能比較表 (Featuer Matrix) や FAQ も最新バージョンに対応した形で公開されました。

FAQ は現時点で112個も Q&A が載っていいるので、おそらく皆さんの疑問に思ったことも載っていると思います。ご活用ください。


Advanced Services

Private AI Foundation や Tanzu Platform に関するテクニカルペーパーも公開されています。



ちなみに、今年の4月に出版した VMware vSphere 徹底入門 は、前バージョンの vSphere 8.0 Update3 Performance Best Practices や、vSAN Design Guide から多くの情報を取り入れています。

vSphere 9.0 / vSAN 9.0 にも通じる各種 Tips を盛り込んていますので、日本語の技術書として今後も活用できますのでぜひ手にとって見ていただければ幸いです。

    【 VMware vSphere 徹底入門 】





2025年6月18日水曜日

無償のハンズオンラボで VCF 9.0 を体験してみよう

VMware Hands-on Labs (HOL) は Broadcom が提供する無料のオンラインラボサービスです。

インターネットアクセスと Web ブラウザさえあれば、いつでもどこでも VMware の様々な製品を実際に操作し、体験することができます。

仮想化技術やクラウド製品を、実際に環境を構築することなく、気軽に試せる学習プラットフォームとして広く利用されている他、ちょっとした動作確認や手順確認にも活用できる Web サービスです。



※ HOL を利用するためには Broadcom サポートポータルのアカウントを作成の上、ラボを利用する上でのプロファイルを入力する必要があります。

以下の KB を参照の上、事前にアカウントを作成してください。


    ※ 多くの方に VCF 9.0 HOL を操作していただきたい意向から、今週中は各 HOL の時間が60分に制限され、時間延長も行えません。来週以降は通常運用に戻る様です。以下の警告が表示されたら「Acknowledge」をクリックして進めてください。

    VCF 9.0 HOL Catalog

    今回、VCF 9.0 のリリースと同時に早速 VCF 9.0 の各種機能を体験できるラボが追加、公開されました。

    VCF 9.0 GA タイミングでリリースされたラボは以下のリンクから確認できます。

    または画面右側の「Catalogs」メニューから「VCF 9.0 GA」にチェックを入れてください。


    2025/6/17 (日本時間 6/18) の GA 時点では以下の 5つの VCF 9.0 ラボが公開されました。今後も追加されていく予定のようです。


    What’s New in VMware Cloud Foundation 9.0 - Platform (HOL-2610-01-VCF-L)

    VCF 基礎の基礎、"VCF 9.0 の概要"

    この HOL では VCF の Core インフラ機能について操作できます。

    • VMware Cloud Foundation の概要
    • VMware Cloud Foundation インストーラ
    • NSX 仮想プライベートクラウド (VPC) で生産性の向上

    What’s New in VMware Cloud Foundation 9.0 - Automation (HOL-2610-02-VCF-L)

    VCF 9.0 に組み込まれた自動化とテナント管理機能、"VCF Automation"

    この HOL では VCF に組み込まれた VCF Automation (旧称 Aria Automation) の機能をはじめとした、テナント管理や vSphere Supervisor、vSphere Kubernetes Service (VKS) の機能の一端を操作できます。

    • テナントと組織 - 管理と運営
    • モダンアプリケーションの構築
    • モダンアプリケーションのデプロイ

    What’s New in VMware Cloud Foundation 9.0 - Operations (HOL-2610-03-VCF-L)

    VCF 9.0 の新しい運用方法、"VCF Operations"

    この HOL では VCF に組み込まれた VCF Operations (旧称 Aria Operations )などの機能を利用した VCF の運用、プラットフォームの管理を体験できます。 

    • VCF 健全性&診断によるプライベートクラウド基盤の監視
    • プライベートクラウドにおけるネットワーク運用
    • プライベートクラウドにおけるストレージ運用
    • プライベートクラウドにおけるセキュリティ運用
    • チャージバックの仕組み

    VMware vSphere 9 - What's New with vSphere in VMware Cloud Foundation 9.0 (HOL-2630-01-VCF-L)

    VCF 9.0 の屋台骨を支える基礎の基礎、"vSphere 9 What's New"

    この HOL では VCF の概要 : HOL-2610-01-VCF-L よりも深く、vSphere 9 の各種新機能の操作、学習ができます。

    • vSphere 9 の新機能概要
    • vSphere Lifecycle Manager - vLCM 並列修復
    • リソース管理 - DRS、vMMR、CPU トポロジとレイテンシの強化
    • ゲスト OS とワークロードの改善
    • ベンダー混在クラスタ - ライフサイクル管理
    • LivePatch - ライフサイクル管理
    • NVMe Memory Tiering ‐ メモリ階層化の概要
    • vSphere のライセンスと運用

    Unifying VM and Kubernetes Management with vSphere Supervisor (HOL-2633-01-VCF-L)

    vSphere Supervisor による VM と Kubernetes 管理の統合、"vSphere Supervisor と vSphere Kubernetes Service (VKS)"

    この HOL では vSphere 上でのコンテナサービスの展開を司る vSphere Supervisor と vSphere Kubernetes Service (VKS) の操作を体験できます。

    • vSphere Supervisor とは?
    • vSphere Supervisor の活用例
    • vSphere Supervisor を使用したクラスタとアプリケーションの導入


    今後、その他の HOL メニューが追加されたら、続きを追記したいと思います。


    HOL の操作

    HOL の基本的な操作方法は過去に様々な方が投稿しているのでそれらを参照してください。

    従来の HOL デスクトップとの違い

    従来、HOL 環境に入ると Windows Desktop 上のブラウザ(Firefox や Chrome)や各種ツールを操作していました。

    新しい VCF 9 HOL では Ubuntu Desktop とブラウザ(Firefox) を利用した操作に変更され、以前より軽快に動作するようになりました。


    デスクトップ上の  README.txt や PASSWORD.txt はログイン情報などが記されているのでコピペで活用できます。

    現在の HOL は英語版のみで提供されていますが、ブラウザの設定を変えたり、各 UI の言語表示を変更することで日本語表示で UI を操作することもできます。

    Nested ESXi ホストのリソースも強化済み

    HOL 環境内の ESXi の構成を確認すると、親 ESXi の CPU は Sapphire Rapid 世代の Xeon 6448Y が使われているのがわかります。

    vCPU は 12 個と若干抑えめですが、メモリも 96GB 割り当てられているので Nested HOL 環境としては十分な量です。


    以前の HOL 環境や、VCAP Deploy 試験の Lab のように動きが緩慢ということはなく、非常にサクサク動いてくれます。


    VMware Lab Platform コンソール UI の日本語化

    HOL のコンソール自体は多言語対応しているので日本語に切り替えられます。


    コンソールを日本語表示にすると上部のバーの表示が日本語に切り替わります。


    ラボマニュアルの日本語化

    ラボマニュアルは英語版のみの提供ですが、皆様がご利用のブラウザの翻訳機能で十分理解可能な日本語に翻訳可能ですので、日本語でのラボマニュアルが必要な場合はそのようにご利用ください。

    次の画面は、先の画面を Chrome のページ翻訳機能でまるっと日本語化したものです。


    少し変な翻訳もありますが、年々翻訳の精度も上がっており、ほぼ違和感なく技術用語も読めるはずです。ラボマニュアルのページを送っても日本語訳がそのまま追従反映されるので便利です。

    もし理解に悩む文言があれば、そのときは原文を確認してください。

    VCF / vSphere 操作 UI の日本語化

    vSphere Client や VCF Operations の UI は標準で表示言語の切り替え機能が提供されていますが、時間制約のある HOL では都度操作するのは面倒です。

    その際は、ブラウザのページ表示言語を日本語に切り替えることで、Firefox で開いた vSphere Client や VCF Operations のページが自動的に日本語版で表示されます。

    ※ GA 時点では HOL Desktop 内の Firefox には言語パックや翻訳言語パックはインストールされていませんが、ページ表示言語の変更で Japanese を指定しておくことで vSphere Client などは日本語表示が可能です。言語パックの事前インストールは別途リクエスト中。

    Firefox のページ表示言語の変更は、右上のハンバーガーメニュー "≡" から "Settting" を開きます。 


    設定メニューの検索窓に " Lang " と入力し、言語設定系のメニューを表示します。


    表示言語を日本語 " Japanese [ja] " を指定し、" Add " します。


    日本語が最上位にあれば " OK " をクリックし、設定画面を閉じます。


    vSphere Client や VCF Operations、VCF Automation の UI を開けば日本語ログイン画面が表示されます。


    ログイン後も日本語表示で操作可能です。


    Firefox の言語設定を操作しない場合でも、vSphere Client や VCF 各種コンソールのユーザー設定、Account > Preferences の設定メニューから日本語を指定して、UI を日本語表示にすることももちろん可能です。



    VCF Automation など一部のツール UI の日本語化

    VCF Automation など一部のツールのブラウザの表示言語設定を日本語に変更しても自動で表示が変更されない場合があります。

    また、初回ログイン時に表示言語設定をするための "Preferences" メニューが表示されない場合があります。その場合は一旦ログアウトし、再ログインすることで表示されます。 ※ バグとして報告中。


    VCF Automation などで画面が日本語表示にならな場合があります。


    その場合は、右上のアカウントメニューから "My Account" を選択。


    しかし、次の画面のように言語表示を変更するための "Preferences" が表示されないときがあります。


    その場合は、一度コンソールをログアウトして、再ログインしてください(HOL を終了・ログインしないようにご注意)。


    無事に表示されたら、日本語 "Japanese" を選択します。


    画面を更新すれば、VCF Automation の日本語化が完了です。


    HOL Desktop のサイズ変更

    HOL Desktop のサイズもご利用のモニタのサイズに合わせて自動で拡大縮小されます。快適な操作のためにはなるべく大画面のモニタを利用することが推奨されます。

    例えば右側のラボマニュアルのメニューは閉じたり開いたり、またはポップアップで浮かすことが可能です。

    その分、HOL Desktop の解像度が上がり、広くデスクトップの UI が利用可能になります。


    ラボマニュアルを >> のマークをクリックして閉じると


    画面が拡大し、HOL Desktop も追従して解像度が大きくなります。


    HOL ラボマニュアルのダウンロード

    現在の HOL のラボマニュアルは各 HOL セッションのリソースタブから PDF で表示、ダウンロードが可能です。

    リソースタブを開き、ラボマニュアルのダウンロードをクリックします。


    PDF のダウンロード、またはそのままブラウザで表示ができますので、ラボマニュアルは別のディスプレイで表示しながらラボを操作することも可能です。



    HOL はこれからも沢山のメニューが追加され、より多くの機能を試せるようになります。

    アップデートが確認できたら追記していきたいと思います。





    2025年3月17日月曜日

    2025年3月以降の vSphere ESXi ・ vCenter のパッチダウンロードとアップデート方法

    Broadcom Support サイトからのソフトウェアアップデートのダウンロード制限

    ※ 本投稿はサポート契約・エンタイトルメントを持たないホームラボユーザー向けに書いています。

    ※ 2025/6/16 Update
    2025年2月末の Broadcom Support の仕様変更により、有効な製品エンタイトルメント、SnS が無いアカウントでのパッチダウンロードが負荷となりましたが、VMSA に報告された深刻な脆弱性に関してのパッチファイルは、VMSA に掲載されたリンク経由で、エンタイトルメントのないアカウントでもダウンロード可能に戻りました。

    また、該当するアカウントで Broadcom Support の My Download にアクセスし、Free Downloads > VMware vSphere > Solutions にアクセスすることで、VMSA 経由で公開された分のパッチファイルのダウンロードにもアクセス可能になりました。


    ※ 2025/3/24 Update
    本投稿で利用している公開オンラインリポジトリは 2025/4/23 以降は利用不可となります。今後はトークンを利用した各アカウントごとの URL を vCenter などに設定して運用する形となります。

    参考 :

    SBCS の平田さんがわかりやすい記事を日本語で書いてくださいました。

    ----

    2025年2月末の Broadcom Support からのソフトウェアダウンロードの仕組みに変更が入り、Broadcom Support サイトを経由でのソフトウェアのパッチファイルのダウンロードが一部制限が入りました。

    具体的には

    • 有効な製品エンタイトルメント、SnS が無いアカウントでの Broadcom Support サイトからのアップデート用ファイルのダウンロードが停止
    • Gmail などフリーメール(非企業メールアドレス)を利用したアカウントでの Broadcom Support サイトからのアップデート用ファイルのダウンロードが停止
      ※ もともとフリーメールでアカウントを作成している場合には Site ID やエンタイトルメントの設定ができませんが、ESXi のパッチファイルなどは Broadcom Support からダウンロードできた
    • 2025/6/16 Update
      有効な製品エンタイトルメント、SnS が無いアカウントでのパッチダウンロードができなくなっていましたが、VMSA に報告された深刻な脆弱性に関してのパッチファイルは、VMSA に掲載されたリンク経由で、エンタイトルメントのないアカウントでもダウンロード可能に戻りました。

    のような変更が入っています。

    サイト上の通知文面を見る限り、ソフトウェア使用許諾に違反した利用が増加しているためシステム改修を進めている様に読み取れます。昨年以降、サードパーティ保守サポートを売りにしたサービスが出てきており、バイナリが非正規ルートで流れている話もコミュニティで見かけるのでその対策でしょうか...

    ただ、タイミング悪く、脆弱性 VMSA-2025-0004(CVE-2025-22224、CVE-2025-22225、CVE-2025-22226)がアナウンスされ、脆弱性対応しようにも従来の Broadcom Support からの Offline Depot ファイルのダウンロードが出来なくなってしまいました※ 2025/6/16 Update : 再度ダウンロード可能に戻りました。

    この記事では昨年まで提供されていた無償版の vSphere Hypervisor (ESXi) を利用している方々のパッチ適用で不自由も生じているようなので、2025年3月時点の適切なパッチの適用方法をまとめます。アップデートがあり次第、適宜修正は掛けていきます。

    ※ 2025/4/14 Update

    2025/4/10 に公開された ESXi 8.0U3e にて、従来の vSphere Hypervisor (無償版 ESXi) のライセンス組み込みの ISO イメージが全てのユーザー向けに再公開されました。

    この ISO イメージを利用した既存 ESXi のバージョンアップも可能となったので、以下に確認した内容をまとめました。

    本記事の見出し


    【非正規ルートのバイナリ使用の注意】
    昨今、vSphere の脆弱性を狙った攻撃が多数報告されていますが、パッチを適用する際には必ず正規ルート(Broadcom Support 経由)のバイナリ、または OEM メーカー経由のもののみを適用してください。
    第三者が展開するバイナリは改竄されている可能性が否めないため、使用するのは控えてください。

    なお、VMware Workstation Pro や Fusion Pro、vCenter Converter など無償ツールは Free Software としてダウンロードは可能です。

    2025年2月22日土曜日

    新版 VMware vSphere 徹底入門 (vSphere 8.0 Update 3 対応) のご案内

    同僚達と執筆した VMware vSphere 8.0 Update 3 に対応した技術本、

        【 VMware vSphere 徹底入門 】

    が、2025年4月23日に翔泳社様から発売されます。

    前回の VMware 徹底入門 第4版 は2015年11月発売で vSphere 6.0 Update 1 対応でしたので、間に 6.5、6.7、7.0 のバージョンを挟んで約10年ぶりになります。

    書籍名は「VMware」のブランドでカバーする範囲が広くなり過ぎたことと、VMware Cloud Foundation (VCF) が現在のブランディングの中心で、流石に今ここまで広げると収集がつかなくなってしまうため、
    範囲を明確にする意味と、前版から10年、3つのメジャーリリースがあいてて様々なアップデートに言及する必要があり、改訂・改版ではなく、「VMware vSphere 徹底入門」として新しいスタートを切る形にしました。

    内容について

    第4版までの VMware 徹底入門のコンセプトを引き継ぎつつ、この VMware vSphere 徹底入門ではより実際の設計、運用のヒントになるベストプラクティスな要素を多く取り込み、
    この10年間、vSphere 6.7 〜 7.0 で実装された重要な機能や特長についても解説に含めました。

    「vSphere に絞った」と書きましたが、それでも以前と比べて膨大な機能があるため、「重要な機能」と、「是非活用して欲しい機能」をピックアップしたつもりです。

    章(Chapter)と節までの内容を列挙すると以下のコンテンツになります。

    内容的には全15章構成ですが、1章〜3章が入門編、4章〜8章が技術詳細編、9章〜15章が機能と運用編、といった流れにしました。

    ■ 入門編

    Chapter 1 サーバー仮想化技術の概要

    1.1 仮想化とは
    1.2 VMware vSphereの概要

    Chapter 2 vSphereクラスタの導入準備

    2.1 公式サイト
    2.2 vSphereライセンスモデル
    2.3 VMwareソフトウェアのサポートライフサイクルとバージョンナンバリング
    2.4 インストールの準備
    2.5 ソフトウェアの入手方法

    Chapter 3 vSphereクラスタの導入

    3.1 本章における構成と導入の流れ
    3.2 ESXiのインストールと初期設定
    3.3 vCenter Serverのインストールと初期設定
    3.4 vSphereクラスタの基本セットアップ
    3.5 vSphere Clientを利用した基本動作

    ■ 技術詳細編

    Chapter 4 仮想マシン

    4.1 仮想マシンとゲストOS
    4.2 仮想マシンの作成と管理
    4.3 vSphere環境への仮想マシンの取り込み

    Chapter 5 CPUとメモリの仮想化

    5.1 vSphereにおけるCPUの仮想化
    5.2 メモリの仮想化
    5.3 リソースの共有/予約/制限

    Chapter 6 ストレージの仮想化

    6.1 vSphereにおけるストレージ
    6.2 vSphereのストレージ従来型アーキテクチャ
    6.3 Software-Defined Storage
    6.4 vSphere Virtual Volumes(VVOL)
    6.5 ストレージマルチパス
    6.6 ファイバチャネル(FC)ストレージとの接続
    6.7 iSCSI ストレージとの接続
    6.8 VAAI(vStorage APIs for Array Integration)
    6.9 NVMeプロトコルによるストレージ接続
    6.10 vSphere ストレージ設計のベストプラクティス

    Chapter 7 vSAN

    7.1 vSANのアーキテクチャ
    7.2 vSANが提供するメリット
    7.3 vSANハードウェア
    7.4 vSANネットワーク
    7.5 vSANを構成するソフトウェアアーキテクチャ
    7.6 vSANストレージポリシーとデータ配置
    7.7 vSANのストレージI/Oアーキテクチャ
    7.8 vSANの運用と管理
    7.9 vSANの推奨構成
    7.10 その他のvSAN 機能

    Chapter 8 ネットワークの仮想化

    8.1 ネットワーク仮想化の基本
    8.2 可用性・パフォーマンス向上とトラフィックの制御
    8.3 仮想ネットワーク環境の運用とトラブルシューティング

    ■ 第3部 : 機能と運用編

    Chapter 9 vSphereクラスタの機能と管理

    9.1 vSphereクラスタ
    9.2 高可用性(High Availability)
    9.3 vSphere vMotion
    9.4 vSphereクラスタのリソース管理と動的配置による最適化
    9.5 vSphere Fault Tolerance(FT)

    Chapter 10 vSphereのライフサイクルとコンテンツ管理

    10.1 vSphereのライフサイクル管理とバージョンアップ
    10.2 Host ProfilesとConfiguration Profiles
    10.3 コンテンツライブラリ

    Chapter 11 vSphereクラスタの運用と監視

    11.1 健全性監視
    11.2 ログ管理・運用
    11.3 vSphere環境のバックアップ・リストア運用
    11.4 パフォーマンスモニタリング
    11.5 vSphereを操作するCLI・API ツール
    11.6 vSphereトラブルシューティング

    Chapter 12 vSphere IaaS control planeの導入

    12.1 コンテナとは
    12.2 Kubernetesとは
    12.3 vSphere IaaS control planeについて
    12.4 vSphere IaaS control planeのアーキテクチャ
    12.5 スーパーバイザーの有効化
    12.6 スーパーバイザーの利用
    12.7 TKGクラスタの管理

    Chapter 13 vSphere IaaS control planeの活用

    13.1 VMware Tanzu CLI
    13.2 vSphereならではのKubernetes拡張機能
    13.3 vSphere IaaS control planeの運用

    Chapter 14 vSphereのセキュリティ

    14.1 セキュリティの強化概要
    14.2 vSphere環境のセキュリティ強化
    14.3 ユーザー管理とアクセス制御
    14.4 ESXiの保護
    14.5 vCenter Serverの保護
    14.6 vSphere Native Key Provider
    14.7 仮想マシンの保護
    14.8 ストレージの保護

    Chapter 15 VMware Cloud

    15.1 vSphereを利用したデータセンターのデザイン
    15.2 VMware Cloudの概要
    15.3 代表的なVMware Cloudのサービス
    15.4 VMware HCX


    興味が湧いた方、ぜひ書店で手にとって内容を見ていただければと思います。

    様々な観点でカバーしたつもりですが、書籍のページ数の都合上、割愛してしまった内容も多数あります。

    その辺りは公式ブログや、今後のイベント・セミナーでフォローアップ情報を提供しつつ、今後も続編の出版につなげられるように頑張りたいと思います。

    ※ 私が担当した箇所、多々あるのですが、6章ストレージ、7章 vSAN、14章 セキュリティの他、ちょいちょいこの Blog に出てきた文言や図があれば、そこは私が書いていると思います…


    2024年12月21日土曜日

    HCIBench 2.8.x の最新情報とストレージ性能検証の注意点

    本投稿、この投稿は、vExperts Advent Calendar 2024 の 12/21 分を担当しています。

    ここ数年の自分の Advent Calendar の投稿を見ていると、vSAN 含めたストレージの性能検証か設計の話、または LiveOptics などアセスメントの話が多かったので、改めて過去投稿を振り返りながら最近の HCIBench を活用した性能検証について紹介しようと思います。

    HCIBench の最新情報

    前回 HCIBench の活用方法について投稿してから早5年、当時 HCIBench 2.0 だったものは 2024年12月現在で HCIBench 2.8.4 まで開発が進んでいます。

    Broadcom Community に移行した Flings ですが、HCIBench の最新版は GitHub 上で公開されてます。

    【注意】 Broadcom Community : Flings 上の HCIBench のリンクは Version 2.8.2 と少し古いので、インストール後にバージョンアップするか、GitHub 側のものを最初から利用してください。

    以前、HCIBench を利用して自動で様々なパターンの性能データ取得を可能にするための Tips を紹介したのが 2019 年の HCIBench 2.0 のときでした。
    ※ それ以前にも EMC Community の Blog ページにて vExpert Advent Calendar 2017 ネタで HCIBench 1.6 の頃の Tips を投稿していたのですが、コミュニティの終了とともに消えてしまいました...

    その後、その年の Advent Calendar でストレージ性能設計・検証のすすめというタイトルの記事を投稿し、2年後の 2021 年にも性能試験を実施する際の考慮点をまとめた記事を投稿しております。

    検証の考え方や実施方法については、基本的に変わっていませんが、実際の案件での PoC 相談や、トラブルシューティングの相談でこのあたりの内容が頻繁に利用されるので、改めて整理しておきたいと思います。

    2024年6月27日木曜日

    vSphere 8.0 U3・vSAN 8.0 U3 機能強化・アップデート情報と VCF 5.2 先行情報

    昨日 6/25 に vSphere 8.0 Update 3 がリリースされました。VMware が Broadcom に正式に統合されてから初の大型アップデートのリリースで今回は VMware Cloud Foundation (VCF) 5.2 に関しても同時に発表されました。※ VCF 5.2 のリリースは来月以降。

    今回も自分自身の覚書とブックマーク代わりに個人的に興味を持っている vSphere・vSAN 関連の最新情報をまとめました。

    今回のリリースでは Tech Zone などに新しい機能に感しての詳細が個別記事で紹介されているので概要だけ日本語で紹介し、詳細は Tech Zone の各記事へのリンクでまとめます。

    ※ Tech Zone の記事は英語のみですが、ブラウザの翻訳機能を利用すればほぼ正確な日本語になりますので日本語希望の方はそのようにしてください。

    公式アナウンス・リリース情報

    vSphere 8.0 Update 3 リリースノート

    今回のリリース、vCenter Server 8.0 U3 は GA (General Availability) 、vSphere ESXi 8.0 U3 は IA (Initial Availability) と設定されています。

    VCF 5.2 も同時に発表されましたが、VCF 5.2 のリリースは ESXi の GA リリースと、NSX や Aria の次期バージョンのリリース後に提供される予定です。

    ※  IA (Initial Availability) と GA (General Availability) についてはこちらの公式 Blog を参照してください → The vSphere 8 Release Model Evolves

    先日アナウンスされた脆弱性 VMSA-2024-0013 (CVE-2024-37085, CVE-2024-37086, CVE-2024-37087) は本バージョンで Fixed です。

    公式 Blog / Core Tech Zone 情報

    vSphere 8.0 U3 に加え、VCF 5.2 に関してのアナウンスもあったため、公式 News Release にも発表がありました。このアナウンスの仕方は VMware の頃はあまりなかった気がするので新鮮です。

    Official News Release

    Official Blog

    Core Tech Zone

    より Deep な機能の紹介は Core Tech Zone (https://core.vmware.com/) に集約されています。


    本投稿のページ内のインデックスです

    2024年4月26日金曜日

    VMware by Broadcom サブスクリプションライセンスのカウント方法と注意点

    ※ 2024年11月 Update : VVF 付属の vSAN ライセンスが 0.25 TiB に拡大し、vSAN Add-on ライセンスと合算可能になりました
    ※ 2024年5月 Update : SPD 記載の条件が変更となり、SDDC Manager を利用しない手組環境では同一 vCenter 配下に VVF と VCF のライセンスの混在がサポートされます

    2023年11月に VMware が Broadcom に買収され、ライセンスが大幅に変更となっています。

    年末からここ数ヶ月で多数のアップデートが入ったことでネット上の情報を見ているといくつか古いまま情報もありますので、公式情報を元に確認できているライセンスの「考え方」や「カウント方法」をまとめます。

    ※ 本投稿では vSphere Foundation (VVF) と Cloud Foundation (VCF) のコアライセンスについてまとめていますが、その他の Add-on ライセンスについては別途整理する予定です。

    Broadcom の会社として変更となるライセンスに関する背景や方針は以下の公式 Blog にて説明されているのでこちらを参照願います。

    色々と変更となる点で皆様思うところはあるかと思いますが、価格・販売に関しては担当営業の方、またはパートナー様にお問い合わせください。

    ※ 記事内のいくつかの VMware 公式サイトリンクは 5/6 以降に新しい Broadcom 側のシステムに切り替わりが予定されております。5/6 以降で判明した新しいリンクへは順次変更をかける予定ですのでリンク切れの際はご容赦ください。

    以下、長文なので見出しへのリンクを追加しておきます。

    従来の VMware ライセンスと新しい VMware by Broadcom ライセンスの違い
    今後のシングルライセンスキー(ソリューションキー)について
    適切なライセンス数サイジングのためにアセスメントの活用

    従来の VMware ライセンスと新しい VMware by Broadcom ライセンスの違い

    従来の永続ライセンス (Perpetual License) と vSphere+ や VCF+ などの従来のサブスクリプションと、新しい VMware by Broadcom のサブスクリプションライセンスは似ている部分と全く異なる部分があります。

    従来のライセンスは全て販売終了となり、今後は新しい VMware by Broadcom としてのライセンス (vSphere Foundation や Cloud Foundation など)に切り替わります。

    新旧ライセンスのざっくりした比較

    ライセンス単位

    新しいライセンスの一番の違いとして、従来は CPU 単位 (1CPU 辺り 32 コア単位) に1ライセンスでカウントしていたものが、サーバーに搭載される物理 CPU が持つ物理コア数によりライセンスがカウントされます。

    このコア単位ライセンスは 1 CPU あたり最小 16 コアが必要となります。

    2023年12月10日日曜日

    Live Optics を利用した仮想化基盤の詳細アセスメント(2024年版)

    今回は VMware Explore 2023 Tokyo のテックステージの LT で沢山の人に資料公開予定ありますか?と言われていた LiveOptice の Deep な使い方をよく頂く質問と合わせてご紹介します。 

    ※本投稿は vExperts Advent Calendar 2023 の 12/10 参加記事となります。https://adventar.org/calendars/8879

    LiveOptics ネタは久々の投稿ですが、過去に投稿した LiveOptics 関連の記事は以下。

    Live Optics の使い方のポイント

    Live Optics の使い方のポイント

    LiveOptics とは?

    Live Optics とは Dell が開発・提供する無償の IT インフラのアセスメントツールです。

    https://www.liveoptics.com/

    詳細は上記リンクにある以前の投稿でもご紹介していますが、日々進化していて非常に多くの種類の環境・ワークロードの利用状況を簡単に情報収集し、レポートを自動作成してくれる強力なツールです。

    • Live Optics の主要機能
      • エージェントレスで様々な環境のデータを収集
      • Web ダッシュボード、PowerPoint レポートの出力
      • 詳細な各項目の Excel レポート
      • vSAN Ready Node Sizer などサイジングツールとの連動

    vSphere や Hyper-v、KVM など仮想化環境の情報収集の場合はコレクターツールをダウンロードして、Windows マシン上で 最長7日間データ収集を行い、レポート化します。


    結構便利なのが、コレクターツールはインストール不要の exe 形式で配布される事、収集対象の機器には標準的な API やプロトコルでアクセスするので対象へのエージェントのインストールが不要な点です。

    アセスメントというと結構事前の調整などの手間が発生することが多々ありますが、LiveOptics はその辺りの手間が省けるのが強力な武器になります。

    ※ コレクター実行用の Windows マシンは物理 PC でも仮想マシンでもどちらでもアセスメント対象に TCP/IP の疎通が取れれば利用可能です。

    ※ 2023年12月時点のバージョンでは .NET 4.7.2 以降が必要なので、これが標準で含まれる Windows Server 2019 を仮想マシンとして評価モードで動かすことで取得可能です。

    RVTools との違い

    vSphere 環境の情報取得で利用される無償のツールとして RVTools もあります。

    https://www.robware.net/rvtools/

    RVTools で取得した情報も vSAN Ready Node Sizer などいにインポートして利用できるので同じような使い方がされますが、RVTools は取得時点のインベントリデータや割当・消費情報をその場で取得、Excel レポートを生成します。

    一方、LiveOptics は基本的には一定期間情報を継続取得して、インベントリデータや割当・消費情報に加えてパフォーマンス情報を取得するところに違いがあります。

    ちなみに LiveOptics でも 「Inventory Mode」を利用する事で LiveOptics サイトへのデータアップロードは行わず、ローカルでインベントリ情報のみを Excel レポート化する事ができます。


    パフォーマンス情報を精査してインフラの問題点、ボトルネックやアンバランスを可視化したい場合には LiveOptics がおすすめです。

    LiveOptics の設定ファイルの配置場所

    LiveOptics のコレクターを実行した場合のデータは基本的には exe ファイルが置かれたフォルダ上にデータが吐き出されますが、
    一部、初回の EULA やコレクターアカウント情報の確認した際の情報のみ %USERPROFILE%\AppData\Local\LiveOptics に記録されます。


    作業後、これらのファイル含めて削除したい場合は削除してください。



    LiveOptics の利用で困ったときはどこに問い合わせるの?

    LiveOptics の利用で問題が起きた場合はサポートサイト https://support.liveoptics.com/ の右上にある「Create Ticket」から簡単に SR を上げられます。


    LiveOptics には仮想化環境のアセスメント機能「Optical Prime」以外にも多数の機能があるのでここでは「Oprical Prime」を選択し、英語で問い合わせ内容を記載してください。

    24時間以内にはレスが付くので無償とはいえサポートリクエストが出来るのは心強いです。

    ※ 英語必須


    LiveOptics のサポートサイト https://support.liveoptics.com/ は FAQ なども豊富にあるのでサイト内容は確認しておいたほうが良いです。

    LiveOptics のアカウントの種類

    お客様やパートナー様からよく質問されることとして、「お客様が作成した LiveOptics アカウントで同様の分析ができるのか?」です。

    結論から言うと、分析できる項目がだいぶ少なくなるようで、Dell パートナーの企業、Dell 製品と関連する OEM 企業のアカウントに紐づくアカウントで無いと詳細な分析は出来ないようです。

    Dell パートナー企業、または OEM 企業に所属する方は新規アカウトを作成する SignUp ページにある https://www.liveoptics.com/signup にて必ず適切なフォームからアカウントを作成してください。

    企業の代表管理者がそれぞれにいるはずですので、企業アカウントとしてアクティベーションしてくれるはずです。※ 管理者がわからない場合、SR 上げると教えてくれます。


    一般ユーザーの方は「Personal Use」か「IT Professional」でアカウントを作成できます。

    アカウントがあると、パートナー企業が実施したアセスメントのダッシュボードを共有してもらう事も出来るのでご自身で詳細を確認したいという方はアカウントを作成してください。


    LiveOptics がサポートするアセスメント対象

    私がよく使うのは Oprical Prime を利用した仮想化環境などのインフラ分析ですが、現在は AWS や Azure などのパブリッククラウドのネイティブサービスも情報取得が可能です(※ インベントリのみでパフォーマンス分析は未実装)

    https://support.liveoptics.com/hc/en-us/articles/360060070093-Optical-Prime-Product-Matrix-

    一部の UNIX や MacOS などは取得対象外ですが、多くの企業で利用されてるインフラの殆どが分析可能なので非常に強力です。

    どんな情報取得して、どんなレポートが作成可能なのか?

    以前の投稿でも取得情報の詳細は紹介しましたので、今回は Web ダッシュボードでまとめられる情報と、Excel、PowerPoint で出力される情報とそこから何を見るべきかポイントを紹介します。

    取得可能な情報は以下を参照してください。

    また、Live Optics のサポートサイトにて取得されるメトリック、特に Excel レポートに出力される各項目の詳細情報が表形式でまとまっています。

    Cloud Pricing については、以下の KB にてそれぞれの環境における価格決定要因の解説があります。


    分析ダッシュボードの読み方。

    サマリダッシュボード


    取得対象全体のリソースの合計、平均、消費、95パーセンタイルでの負荷など全体の状況が確認できます。

    この情報はあくまでも全体からみた情報なので、規模の大きい環境や異なるワークロードの基盤が混在する環境では情報の解像度がボヤケてしまうので後述するクラスタごと、ワークロードごとのサポートに範囲を絞って確認することをおすすめします。

    パフォーマンスダッシュボード


    取得したクラスタやホストごとの詳細情報を見ることが出来ます。

    バーチャルダッシュボード (仮想化環境の場合のみ)

    利用されている仮想マシン全体の分析が確認できます。割当リソースが適切に利用されているか、無駄な仮想マシンが残っていないかを確認できます。



    まとめて取得したレポートだがクラスタ単位などで個別レポートにしたい時

    一括取得した複数のクラスタのうち一部のクラスタのみのレポートを作成した、取得した中から特定のホストを除外したい、というときはパフォーマンス画面から対象のチェックボックスを外し「再計算」を行うことで集計範囲を簡単に分けることが出来ます。


    分けることでサマリダッシュボードの内容も変わるので、取得するときは一括、レポートはクラスタ単位、といった使い方も可能です。

    結構重要な操作なので、規模の大きい環境、異なるワークロードが混在する環境ではぜひ対象を分けて分析してみてください。

    アセスメントツールの実行におけるセキュリティの考慮

    LiveOptics ではアプリ・エージェントのインストール不要で 最低限の情報収集を実施しますが、ホスト名(FQDN)、仮想マシン名、クラスタ名、IP アドレスなどの情報は取得対象が何なのかを判別するために必要な情報なので取得、レポート化に利用されます。

    それ以外の仮想マシンやストレージに格納された固有情報にはアクセスせず、収集することはありません。

    収集される詳細情報はコレクター exe が格納された Zip ファイルに同梱されている Live Optics_Security_Tech_Brief.pdf 、またはサポートサイトの Security Tech Brief にて参照可能です。


    または、


    PowerPoint レポートで見るべきポイント

    LiveOptics ダッシュボードからエクスポート可能なレポート形式で PowerPoint があります。

    ほとんどの場合はサマリ情報を見るだけで終わってしまいますが、出力される利用状況を時間軸でまとめたグラフは非常に有用なので是非活用してください。
    ※ PowerPoint レポートもクラスタごと、ワークロードごとに絞り込んでから出力することが可能です。

    2023年12月時点では画面右上のメニューから「Reports」を選択します。

    続いて上から4番目の「Performance」にチェックをいれることで PowerPoint レポートが作成可能です。比較対象のクラウドサービスのリージョンや PowerPoint レポートの言語も日本を指定できるので適宜変更してください。

    個人的にレポートに含めておいたほうが良いのは以下の5つ

    • Environment Focus
      • Performance Envelope
      • Inventory Summary
      • 不要 Top 5 Servers Metric Percentages
    • Performance & Storage Focus
      • CPU Performance
      • Storage Capacity
      • IO Performance

    これらレポートに含まれる以下のようなグラフを精査することで一週間のリソース利用率の上下動、日中・夜間の傾向把握することで基盤が抱える課題を可視化していくことが可能です。


    Excel レポートのカスタマイズ

    Excel で出力される Performance レポートは非常に多くの情報を含んでいますが、標準レポートのままではアンバランスやボトルネックを識別し難いので、Excel の条件付き書式などを活用して色分けして分析することをお勧めします。


    予め各項目に条件付き書式の設定を入れたテンプレートを用意しておくと、出力した Excel からデータをテキスト形式で貼付するだけでより分かりやすいレポートが簡単に出来上がります。

    参考として私が条件付き書式の色付け閾値にしている例です。

    • CPU 利用率 : 80 % 以上を赤、60 % を黄色、0 % を無色の 3 色グラデーション
    • メモリ利用率 : 80 % 以上を赤、60 % を黄色、0 % を無色の 3 色グラデーション
    • IOPS : 最大値を赤、0 ~ 最大値までをグラデーション
    • IO 遅延 : 20 ms 以上を赤、10 ms 以上を黄色、0 ms を無色の 3 色グラデーション
    • Host Boot 時間 : 最大値を赤、0 ~ 最大値までをグラデーション (長期稼働し続けるホストの炙り出し)
    • ゲストメモリ利用 : 48 GB 以上を赤、 32 GB を黄色、0 を無色で 3 色グラデーション
    • ゲスト起動状態 : "PowerOff" を赤
    メモリ利用率やディスク利用率は環境ごとに違いますので、割当に対して利用率が適正かをだんだんする材料として利用します。

    LiveOptics でここまで見える Deep な使い方

    Excel レポートと PowerPoint グラフを組み合わせた分析方法の Tips を紹介します。

    これら以外にも、Live Optics のサポートサイトにて各種メトリックの読み方、分析のポイントがまとまっているので併せて参照願います。

    ESXi ライフサイクルの把握 : バージョン・起動時間の傾向

    Excel の「ESX」シートではホストのメンテナンス状況(Boot Time)、ソフトウェアバージョンの確認の確認が出来ますので、ずっとメンテナンスしていない塩漬け基盤がひと目で確認できます。

    ホストのソフトウェアバージョン・起動時間のチェック

    • 起動時間が長期継続 = パッチ適用など再起動が必要な操作が未実施
    • ESXi、vCenter の Build 情報も確認できるため、既知の不具合や脆弱性への対応状況、クラスタ内でのバージョン不一致の確認なども可能

    ESXi ホスト間のアンバランスとボトルネックを把握

    Excel の「ESX Performance」シートではクラスタ内の各ホストごとのリソース利用率の違いなどが確認できます。

    ホスト間のリソースの偏り、負荷の集中、ボトルネックの有無を確認することで全体の無駄や課題を明確にする事ができ、アンバランスがあれば DRS などの負荷均等化する機能の活用が提案可能です。


    ESXi ホスト間のリソースバランスチェック

    • クラスタ全体のリソースの不均衡がないか?
    • CPU・メモリが恒常的に高い場合は、スペックの見直し、VM 割り当ての見直しが必要
    • フェイルオーバー専用ホストなど未使用ホストが存在する?

    適正 CPU の把握 : CPU 世代と利用率の関係

    よく見られる傾向として、非常にハイエンドの CPU を採用しているのに CPU 負荷はずっと低く高くても 10% 〜 20%、低いと一桁といった環境も見られます。

    ホストの CPU 負荷とそれに適した CPU モデルが選択されているかを確認することで次の基盤更改時の CPU モデル選定に活用出来ます。


    ホストの CPU 利用率と CPU モデルのチェック

    • ホスト間の利用率の不均衡がないか? → DRS で VM の均等な配置を推奨
    • 高スペック CPU を採用したのにほぼ使っていないなどの無駄の確認
      → 次期基盤で適切な CPU サイジングの重要なデータなので SPEC Org 等のベンチマークデータで適正なモデルを検討

    vCPU 割当数と vCPU 利用率の把握

    クラスタやホストの CPU 利用率には余裕があるのに仮想マシンが 100% に張り付いている、といった事例も多く見られます。

    そんな環境をよく見ると、各仮想マシンの割当 vCPU 数が 1〜2 などの少ないことが多々あります。

    Excel の「VMs」シートと「VM-Performance」シートの仮想マシン情報を組み合わせる事で、各仮想マシンの割当 vCPU 数と CPU 負荷の状況を合わせて見ることが可能です。

    ホストの CPU に余裕があるならば、もう少し仮想マシンに vCPU を割り当てる事で仮想マシンの性能問題を解決出来ると思われます。


    VM に割り当た vCPU 数と性能状況、ESXi ホストの余裕を比較 

    • 適切な vCPU の割り当て数を検討
    • Hyper Threading が有効な場合は vCPU 数も偶数個で割り当てる

    メモリ消費の実態把握 

    Excel の「VMs」シートと「VM-Performance」シートは各仮想マシンごとのメモリよう詳細利用状況がわかります。

    基本的には各仮想マシンに割り当てたメモリ (割当メモリ : Provisioned Memory) はゲスト OS 側でファイルキャッシュなどにどんどん消費していき、仮想マシンのメモリの使用率は時間とともに増加 (消費メモリ: Consumed Memory)していきます。

    しかし、実際にはほとんどがキャッシュとして使われるだけで頻繁に使われているメモリ領域 (アクティブメモリ : Active Memory) は数%だけという例も多く見られます。
    ※ Linux OS などで free コマンドを見ると確認できる free と active の差



    割当メモリとアクティブ・消費メモリのチェック

    • メモリ割り当てが適正か、Provisioned (割当)、Active (利用) と Consumed (消費) の違いを要確認

    メモリの実際の使用状況を把握することで、不要な割当メモリの削減や次期基盤でのサイジングの参考に活用できます。

    ※ vSphere 環境ではメモリのオーバーコミットが可能ですが、バルーニングなどのメモリの回収動作が作動すると仮想マシンの動作が遅くなるのでサイジング上はメモリは割当メモリ 100% を消費する前提で組むのをお勧めします。

    未使用ストレージ領域の把握

    Excel の「VMs」シートと「VM-Performance」シート、「Cluster Disks」シートを確認する事で仮想マシンのディスク割当と消費、データストア全体の割当と消費状況を確認できます。

    最近は HCI の採用や重複排除ストレージとの相性で Thin 形式の仮想ディスクを利用する場合が多くなっていますが、それでも多くのお客様はオーバーコミットしない Thick 形式や RDM を利用していることが多いです。

    仮想マシンの中で実際にどれくらい使用されているのかを LiveOptics により明確にレポートすることが出来るので、ストレージの過剰割当を排除して適切なサイジングが可能になります。

    ※ 「Cluster Disks」シートの共有データストアの情報は全ホストから見えるストレージパスごとにデータストアが重複して並んでいるように見えるので別途 Pivot デーブル化して平均を出す必要があります。


    未使用ストレージ領域の把握

    • Thick 形式のディスクや RDM が確保する未使用容量の把握
    • Thin 形式のディスクの実際の利用率把握

    グラフから見つける時間別の傾向把握

    Excel レポートには非常に多くの情報が詰まっていますが、「100% の CPU 負荷」や「高 IO 遅延」などのボトルネックがいつ発生しているのか、どのくらい影響があるのかは Excel だけではわかりません。

    合わせて確認する事重要なのがダッシュボードや PowerPoint で確認可能な時系列に負荷が整理されたグラフです。

    CPU・メモリ・ネットワーク・ストレージでピークがいつ発生しているか時系列で確認することで、Excel レポート上に記録された負荷が正常なものなのか、問題のあるものなのかを判別するヒントになります。

    以下の例は CPU 負荷が健全な環境と、日中の負荷が逼迫している環境を並べたものです。

    グラフに平日・休日・日中・夜間の指標を追記することでより分かりやすいレポートになります。

    以下の例は Excel レポートでは高 IO 遅延が報告されている環境の IO 性能に関するグラフです。


    この場合、IO 遅延が高まる時間帯が夜間であること、そのタイミングで大きい IO サイズで高いスループットが確認できていることから、お客様にその時間帯の処理を確認しました。

    結果、バックアップや DB のバッチ処理が走っていたため、そのラージ IO サイズが原因の IO 遅延の増加が推測できることで、Excel レポート上の最大 IO 遅延は許容範囲内であることがわかりました。

    ※ IO サイズが大きければ IO 遅延も大きくなるのは当然なので、この様な場合の遅延はノイズとして無視して良い場合が多い

    Live Optics データと各種サイジングツールとの連携

    LiveOptics の便利なところは取得したデータをそのまま vSAN Ready Node Sizer などにエクスポートしてサイジング情報として活用出来たり、
    Excel レポートを取り込むことで VMC Sizer や VxRail Sizer でもサイジング情報として活用出来るところです。

    せっかくなので取得したデータを利用してサイジングツールをより高い精度で活用してみてください。


    以上、長文となりましたが Live Optics を利用したアセスメントで出来ることの2024年版でした。

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